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アヴァンティ 2008年 4月号

■「本音も大切にしてね」

「あなた、その口の悪さなんとかしないと、いつか仕事がダメになるわよ」と友人から言われたのは若い頃でした。私の言いたい放題の口の悪さを心配してくれたのです。最後に「私には今のままで良いのよ」と言ってくれたのですが、その時は毒舌をなんとか改めようと心に誓いました。

ところが、ですよ!時をおかずして、他の友人もさんざん私の毒舌をいさめた後に「私にはそのままでいてね」と。二人から「私にはそのままで」と言われたのだからと、「奥歯に物を挟んで、歯に衣着せて」との決心はたちまち崩れ去りました。北九州で生まれ育ち、よその土地で暮らしたことは一度もありません。正真正銘の北九州弁ネイティブスピーカーです。言葉の内容だけでなく「すかん」「いけん」「いやっちゃ!」と言葉そのものもきつめです。

テレビの料理番組に出だした頃「標準語を喋ろう」と決心して放送局の話し方教室に入会しました。「標準語で話せるようになるからね」と知人たちに吹聴したら「あんたに標準語は似合わない」と激しく止められて一度も受講せず標準語の夢は消え去りました。本音をきつい言葉で喋るのだから若いときは生意気と言われ、異性にモテるチャンスを失い、「愛い奴じゃ仕事をやろう」なんて経験も皆無でした。

しかし損ばかりの人生だったとは思いません。今年になって海外で仕事をしている人たちが何人か会いに来てくれました。上海や香港などアジアからの里帰りです。「自然や環境はずっと素晴らしいのに、なぜか日本での仕事はストレスが多いの」と口を揃えます。

海外ではストレートに物を言う人が多いので「人の腹を探る」必要のないぶん気が楽なのだとか。日本で仕事をしている時は相手の言葉の裏にあるものをいつも考え、疲れていたのだそうです。

私のように「むき出しの言葉で喋ろう」と勧めているのではないのです。あまりに心を隠してきれいごとばかりを語る人は自分にも相手にもストレスを抱えさせるのかもしれません。心は冷たいのに言葉だけ優しい人より、性格も言葉もきつい方がまだましだと思うのは私だけでしょうか。