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アヴァンティ 2007年 10月号
■「UV対策」
帽子にサングラス、ひじの上まである妙な手袋、その上日傘までさしている。完璧すぎる紫外線対策はエレガントとはほど遠いとは思いませんか。(日に当たると湿疹が出来る人は別ですが)
バカンスで訪れたグアムでもそういう女性たちが出没していて驚きました。外国人のおばさまたちが南の国の太陽に恥ずかしげもなくふくよかな肌をさらしている中で「覆面、日傘軍団」は日本で見るより、更に異様に映りました。
「そんなに日焼けが怖いのならなぜグアムを選んだ!」と心の中で悪態をついたものの、夏の終わりにシミが増え、くすんで弾力のなくなった肌を後悔するのは嫌です。
紫外線は美容の大敵だけでなく目や皮膚から入って活性酸素を発生させて白内障や皮膚ガンの原因を作り、老化の原因の一つとも言われています。「紫外線は怖い」と思うのですが、あれほどの「重装備」で街を歩くのはやはり嫌です。
さてどうしましょう。ちょっと古い話ですが、地球の原始の海に生命が生まれたのが約40億年前。(古すぎ!)植物の祖先が陸に上がったのは4億年前なのだとか。酸素もオゾン層も無い地球には宇宙から強い紫外線が降り注いでいて、長い間生物が暮らせる環境ではなかったのです。植物の祖先は海の中で二酸化炭素と水からデンプンを作り酸素を発生させました。その酸素が地表に満ちてオゾン層を作り有害な紫外線を遮るようになるまでに36億年かかったということなのですね。それなのに今アッという間に人間がオゾン層を破壊しょうとしていますが・・・。太陽の光が大好きと思われがちな植物にとっても、過剰な紫外線は大敵なのです。陸に上がってからも植物は様々な形でUV対策を講じて来ました。ビタミンCやE、カロテン、アントシアニン、リコペン等を作って活性酸素と闘っているのです。
きれいに見える植物の葉や花や実の色は紫外線対策の結果なのですって。私たちが紫外線から身を守るのは紫外線対策の大先輩である植物の力を借りるのが一番の近道なのです。長々と書きましたが、要するに野菜や果物をこの季節にたっぷりと食べるのが一番の日焼け対策ということ。すごく回りくどい話しになってごめんなさい。でも、野菜を食べんといけんよ!
(参考資料『ふしぎの植物学』田中 修 著 中公新書) |
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