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アヴァンティ 2005年 2月号

■女に生まれて良かった!

子供の頃から、感じていた事がある。今までずーっと誰にも言わないでいた。なぜって理由がいまだに説明できないから。

私が小学校の高学年の頃、両親と食事が終わって夜の街を歩いていたら、いつも診てもらっている小児科のお医者さんを見かけた。先生は恐ろしく色の白い女の人に寄りかかっていて、こちらには気がつかない。「もうこの先生には絶対に注射なんかしてもらいたくない」。その後本当にその病院に行ったのか行かなかったのかなんて覚えていないけれど、白粉を一箱ぶちまけたような顔の女の人と一緒だったというだけで、先生に対する信頼はこっぱみじんに吹っ飛んだ。

時々家を訪ねて来る父の友人。全部が小さい。背が低い、鼻も目も小さい、頭の毛も小さい(これは薄いと言うべき)話し声さえ小さい、とにかく影が薄い。あるお正月におじさんは奥様といらした。急に尊敬語を使いたくなるくらい、彼女はエレガントだった。大人の女性ならではの見事なご挨拶。肩から滑らすようにショールをはずす仕草もその人のもの。私はおじさんを急に立派に感じる。「こんな女性が奥さんだなんて、なんて素敵」。大人になった今でも、同じようなことを感じる出来事に繰り返し出会う。最近はっきりと思う。男性って一緒に居る女性で評価が大きく変わる。

女性は?一緒にいる男性で評価が変わるのか。それはNOである。 女性の基本は揺るがない。風采の上がらない酔いどれの男が横についていようが、彼女は彼女である。

「お医者様の奥様は、政治家の奥様は、弁護士の奥様は」ですか?もう一度言います彼女は彼女です。夫の職業だけで評価する人も未だに世の中に生存するようですが・・・ましてやブランドの洋服や持ち物で評価されるなって、それはただの幻想。「なにも足さないなにも引かない」その人のありのまが評価される。

『ピーターパン』の作者J・M・バリの言葉を借りると、「美しい考え、優しい身のこなし、人に尽くした思いやりの数々がやがてその人の黄昏どきになって月見草のように花開くのだ」

女性に生まれて良かったって思いませんか。