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アヴァンティ 2005年 3月号

■自分の常識がすべてじゃないぞ!

鯨を食べることに理解を示さない国がある事は知っていたが敵はもっと身近にもいて、いろいろとうるさい。

お鮨をつまんで一言「美味しい」と言っただけで「エーこんな練りわさびを使った握りがー」ときた。「この値段でそれは...」と言いかけてめんどうになりやめた。人が作ってくれたものはよほど不味いものでない限り「美味しい」といっていただくようにしているが、にわかグルメになって評論家のような発言をする女性は多い。

焼き肉屋で大好物のレバ刺に箸をのばそうとすると、横から甲高い「気持ち悪うー」の声。私はすぐさま携帯を取り出して彼女の番号を消去した。自分の好きなものは人も好きだろうなんて考えはさらさらないけれど。あなたの嫌いなものを食べているからって「ゲテモノ食い」なんて言うのはおかしいよ。

ツアーのフランス旅行。普通に出てくるエスカルゴ、ウサギや鹿にそのつどぎゃーぎゃー騒いでた若い子達には心がドクロマークになった。自分の国の食が全てではないぞ。「美しい蒔絵のお椀の蓋を開けたら鯛がにらんでいて失神しそうになったけれど、そっとお椀のふたをしてなにくわぬ顔をしたの」と告白したアメリカの婦人の方がどれほど常識的か。

先日、出かけた田舎で「ちょうど良いタイミングに来たね」と言われて出してくれたのがイノシシとヒヨドリ。せっかくなのでありがたくいただいて帰ってきた。言わなきゃあよいのに同行していた知人がその事をぽろり。その時の周りの反応はすごかったこと。涙目で「可愛そうー」を連発され、もううんざり。

食べ物だけでなく食べ方もなんだかんだと言われると、大阪の友達が悔しがっていた。

一人暮らしが長い彼女は当然ながら喫茶店や一膳飯屋、居酒屋にも一人で入る。その事を知った事務所の若い女性は目をクルクルして「私、カフェでも一人でよう入れません」。

そのお目目クルクルの彼女、強引に連休をとって一人でイタリア旅行に出かけたのだとか。友人は「カフェには一人では入れますけど、私イタリアに一人でよう行きませんけど」とぼやいていた。