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          | アヴァンティ 2005年 8月号 
 ■グラスに唇
 
  
 
              
                | 遅ればせながら話題の映画、『トーキョータワー』見ました。 
 黒木瞳扮する詩史は青山の一等地にセレクトショップを持ち、夫は売れっ子のCMディレクター。ヨーロッパの最新ファッションに身を包む彼女はフランス語だって流暢に話せるのだ。ここで「出来過ぎー」と叫んだ人はまだ早い。彼女の恋人、透は岡田准一扮する大学生でなんと二十一も年下。彼のファッションも可愛く、それぞれの住まいのインテリアにも細かく気が配られていて、これも見所の一つ。
 
 「映画はディテーィルだ」と言った人がいましたが、映画は細部がかえって印象に残るもの。詩史と透の二人っきりでの食事シーン。場所はレストランのワインセラー。洒落た前菜にワインは何とあの高価なロマネコンティでっせ。スノッブでロマンチックなシチュエーション。おばさんは、よだれ拭きつつ見とれました。詩史さんが優雅な所作で食事を口に運び、そのままワイングラスに手をのばしてゴクリ。 「アッ、ナプキンで口を拭きましょうよ」私は思わず声を立てそうになりました。
 
 画面では見えなかったけれど、ワイングラスには彼女の唇の形に脂がベットリとついていたはず。食べ物を口にした後、グラスの飲み物をいただく時にナプキンで口を押さえるのは初歩的なマナーですよ。二人で角打ちの焼酎を飲むのだったら話は別だけれど。淳君がもっと大人の男性だったら「百年の恋も冷めた」っていっていたかもしれないよ。皆さんは気をつけてくださいね。
 
 グラスに手を伸ばす前に必ずナプキンで口を押さえる。
 ナプキンを使う時は姿勢を良くして相手から視線をそらさず、さりげなく。
 食事中のエレガントさはナプキンの使い方で決まるといっても言い過ぎでないくらいに大切です。
 二人きりでワインを傾けながら食事をするのは思いっきりセクシーなこと。
 
 あなたにも素敵な夜が沢山ありますように。
 
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