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アヴァンティ 2006年 4月号

■「度胸があるね」

「えらくドアから離れて立っていましたね。」
エレベーターに乗り込んだらいきなり見知らぬ女性から叱られてしまった。私はエレベーターのドアから一メートルくらい離れて待つ癖があるのだ。

「ごめんなさい」と一応謝っておいて、反撃に出た。「ドアの真ん前に立っていて、開くと降りる人おかまいなしに乗り込んでくる人いますよね」「それにドアが開くと恐そうなお兄さんが乗っていたらどうします」

「はぁ・・・」。私は彼女の返事を待たずに会釈して開いたドアから出て行きました。とにかく恐がりで用心深い。これは私の数少ない長所の一つだと思っている。転ばないようにヒールは履かず、靴はスニーカーか、クラークスのフラットと決めている。歩道ではマンホールなどの金属の部分は滑りやすいから必ず避けて通る。

信号のない所では横断しない。点滅し始めた信号を慌てて渡るなんてとんでもない。一緒に行動する友達は「あなたと一緒だったら時間がかかってしょうがない」とぼやくが、しかたない。怪我はしたくないのだから。

私の本職である料理は火や刃物を使うので、ある程度の緊張が大切なのだ。燃えやすそうなひらひらのエプロンなんて1枚も持っていない。職種によって危険の種類も異なるのだろうけれど、その危険を避ける考え方もプロ意識の大切な部分じゃあないのかしら。

スタイリスト、メーキャップ、アシスタントディレクターなど女性の多い分野だ。テレビなどでは表面には出ない黒子的存在だが、番組の流れをスムーズにしたり、雰囲気そのものを作り出すなど重要なポジションである彼女たちの服装はとにかくスポーティだ。本番直前に必要なものを数分の間に階段をかけ上がってとってくるなんてことはしょっちゅうなのだから。

ところが、最近彼女たちの中に、ピンヒールやミュールで仕事している人を見かけるようになった。大丈夫かなー転ばないかなーとハラハラする。もっとも友達は私の誰にでも突っかかっていく性格にハラハラすると言うのだけれど。