|
|
2000年6月20日放送
■汗
汗をかく季節になりましたが私の友人に凄い汗かきがいて、先日その人と四川風のマーボー豆腐を食べたら、余りにもすごい汗を手品みたいに出すので見とれてしまいました。後日胸ポケットに入れていた携帯電話が汗にぬれて故障して修理に出したら、水の中に落としましたねと言われたとか。
それで汗に付いて調べてみました。
汗腺には、アポクリン腺(a腺とエクリン腺(e腺)があって、a腺は毛根部に口をひらきe腺は毛根とは関係のない皮膚の部分で口を開いているとか。人類以外のほ乳類で汗腺を持っているものは少なく無いけれど、体中のほとんどがa腺で、e腺があるのは足の裏と手のひらだけらしい。しかるに人類はその反対で全身に有るのはe腺で、a腺は腋の下とあとわずかに、乳首と陰部に有るとのこと。
ふとどきにもあるドイツの学者はa腺とe腺のの分布の違いで人間の進化の高級と低級を分けると言う大胆不敵な説を唱えたらしいけれど、もしかして当たっていたら恐い。
なみにe腺の汗は極めて薄い液で、a腺の汗はとても複雑な成分をふくんでいるんですって。(フフフ)
日本人成人の能動汗腺の総数はおよそ230万本、毛髪は10万本で大まけして全身の産毛も入れて総計20万本にしかならないらしいから汗の穴って凄い数ですねぇ。人は温熱発汗と精神性発汗の二種があって、暑い時や運動した時に出る汗と、ヤバいことをつき付けられた時に出る、あの冷や汗があるのです。精神的発汗は温熱性発汗の様に除々に出るのではなく突発的に出ることが特長とか。精神的発汗は手のひらに出るそうで、敏感な人ほど分泌が多いらしいのです。
敏感な人の手に触れてみるとその汗ゆえに皮膚がしっとりと柔らかく手が冷たく感じるのだとか。昔手の冷たさは心のゆかしさを連想させる女性美の一つの条件だったそうな。(そう言えば私って手が冷たい)六代目菊五郎はそう言ったことに神経質な人で女形の手が温かいと不機嫌になったので、舞台に上がる前に氷水に手を漬け手を冷たくしていた女形もいたとか。
力仕事をする前に手に唾をつけますが、これは日本だけの習慣ではなくて他の民俗にも普通に行われることらしい。緊張した時に手に汗をかくことは、物をとり落としにくくなったり、人と取っ組み安くなったりするので人がもっと原始的に生活していた時の名残りらしいです。
暑いのに発汗が止まる事は時に熱射病の危険信号のときもあるので要注意です。 夏は汗が出るからと言って飲み水を控える人がいるけれど汗より尿量が増えるので故なき懸念であるそうな。汗かきで人の何倍もあせをかくと思っている人でも1.4倍くらいで余り個人差が無いとのこと。
汗をよくかく人はスポーツマンに多く鍛練した証拠で健康だと思ったらよいそうです。 汗の役割は体温の調節で汗1gが蒸発すれば0.56kカロリーが放熱されるそうで、汗は身体のクーラーなのです。
もし全身に汗腺が無ければ人間は寒冷地にしか生息できない生き物になったことでしょう。 夏は冷房の中にだけ居ないででちゃんと汗をかきましょうね。
今回とっても真面目な山際でした。
参考文献 『汗の話し』 久野 寧 著 光生館 |
|
|