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2000年9月26日放送
■月の癒し
古本屋さんが好きです。見つけるとどんなに急いでいる時でもちょっと立ち寄ります。
なぜって、私を待っていてくれる本があるからです」
先日も『月の癒し』(ヨハンナ・パウンガー、トーマス・ホッペ著 小川捷子訳 飛鳥新書)が有りました。
三年前くらいに出版された本です。題名だけ聞くとなにやら怪し気な本。「癒し」という言葉は「怪しい」とか「卑しい」などの言葉を連想してしまいどうも好きになれません。「他力本願」って感じがしません?だから斜読み、5ページ飛ばし読みするつもりでした。ところがですよ、この本なかなかのものでした。ドイツで1993年に『自分の力で』という題で出版されて、300万部のベストセラーになったそうです。そのままの名で出ていたら日本でももっと読まれていたかもしれないのにね。
著者の一人ヨハンナ.パウンガーは美しい自然環境に恵まれたオーストリアのチロル地方の人です。北はドイツ、南はイタリアに接している国だそうです。この地方の人は「月のリズム」を中心とした独特の生活を営み九十までもの長寿を全うするのだそうです。潮の満ち干が月の引力によるものであるのは誰でもが知っていますが、人間の身体が月の影響を受けるのは出産のときと亡くなって行く時くらいだと思っていました。しかし私達の身体が80%水でできていることを考えると、もっと月の引力の影響を受けているはずですね。人は満ち潮の時に生まれてくると言われています。満月の夜は交通事故や犯罪が増えるので警察官も増員されるって御存じでした?
「満月の夜に摘むハーブは効果がある」と言うような記述はロマンチックですが、私にちょいと似合わないから飛ばして、役に立ちそうな事をいくつかお伝えしましょうね。
新月の時つまり月がこれから満ちて行こうとするときはなにか新しい事を始めるのに適していて、アルコールやたばこを止めるのに良いタイミングなのだそうです。禁断症状が出にくいらしいのです。
月が満ちて行く時は「補給」「摂取」つまり身体がいろんなものを貯えて「保護」と「休養」を促すのだそうです。同じ様に食べていても普段よりも太りやすく、ビタミンやミネラルも吸収されやすいのですって。この時期ダイエットは効果が薄そうですね。私もこの一週間くらい食事を少なめにしているのですが100gも減って居ないので不思議だと思っていました。満月の日からダイエットを始めると効果的なんですって。満月の時は身体が水分を吸収しやすくなっているのでむくみやすく、結合組織が柔らかくなっていて傷口が普段より化膿しやすいので注意と書いてありました。
簡単に言えば欠けて行く時には「放出=出す」満ちて行く月の時は「吸収」をすると憶えて入れば良いのだそうです。仕事は満ちて行く時に準備計画をして欠けて行く時に集中してやると効率が良いのだとか「これも試してみよう」。お風呂に入っても欠けて行く月の時期の方がずっと沢山汗が出るって。これも「自分で比較してみます」。
この本を読んだばかりで上手く伝えられませんが、これほど月のリズムに人間が支配されているなんて自分も自然の中の一つなのだと感じられて楽しい気分になっています。昔の人は物事の状態をただ観察していたのだけで無く、研究を重ね、生活に役立てているのですね。農作物の栽培や収穫、魚の捕獲も月の満ち欠けで時期を決めて生き抜いてきたのです。
山際が神秘主義者になったように感じられるかも知れませんが、不思議な事に興味を持つ事は科学的に物事を考えたいという現れでも有ると思っています。「水を火にかけて沸かしてもなぜ100度以上にならないの?」。「流動的な卵が熱を加えるだけでなぜこちこちに固まってしまうの?」「不思議って科学的、科学って神秘的」何を言っているのやらこのおばさん。
しかし不思議を大切にしない人ほど人が座禅を組んで30センチ浮き上がったと言うくらいな事で驚き恐れてしまってるような気がします。地球なんてこの宇宙にずーっと浮かんでいるって言うのに。
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